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天皇賞・秋、2センチ差写真判定の舞台裏
2日の天皇賞(秋)でのウオッカダイワスカーレットの激闘の余韻はまだ続いている。同着かとも思われるような際どいレース。読者からも問い合わせが多かった写真判定などについて、JRAの久保圭一郎決勝審判委員に詳細を聞いた。
ラスト1ハロンからゴール前までの200メートルは競走馬も最大限の力を発揮し、時速60キロ〜70キロで突っ走り0.01秒差の世界の中でしのぎを削る。際どい場合は写真を参考にし、ゴールへの到達順位や着差を発表しているのが決勝審判委員だ。写真判定が採用されたのは1948(昭和23)年で、これまで技術の進歩によって何度も改良され、現在は審判のもとには様々な角度からゴール前の映像を捉えるカメラが3台設置され、そこからレース終了後約1分ほどで送られてくるフォトチャート(6/1000秒)を参考に到達順を確認し、検量室内の職員へ電話連絡をする。「場内でも流れるスローVTRやフォトチャートを見て到達順を判断します。ハナ差の場合は全て、アタマ差の場合も多くは写真を参考に判定します。それでも判別できない場合はキャビネサイズに写真を焼きます。先日の天皇賞も2センチの差でしたが、我々は差がつけられる限りは差をつけるという姿勢でやっています」と久保決勝審判委員は詳細を説明する。GIや重賞レースなどでは、検量室内の映像が流れることが多くなった。天皇賞でも注目されたのが、室内にある到達順位を示すホワイトボードの存在だ。「こちらから到達順を電話で検量室内の職員に伝え、それをボードに記入します。写真判定でも優勢劣勢の判断が付く場合は『写』を残して上位入線したと思われる順番に記入。天皇賞のように優劣がはっきりしない時には馬番の若い(小さい)方から書く場合が多いですね」と久保氏は説明する。“差がつけられる限りは差をつける”という信念で、決勝審判委員は1日12レース、ゴール入線直後から確定までの約10分前後に全精力を傾けていることを念頭に置きながら、今週のエリザベス女王杯も大接戦を期待したい。
★決勝写真とは…
競馬場内や各ウインズ、検量室横にも決勝写真を掲示する場所が設けてある。この写真には等間隔でオレンジ色のスリットが入っているが、現在レースで使用されているのが6/1000秒の速度なので線と線の間隔は8センチ。
★明暗を分ける検量室のホワイトボード
検量室の正面にある到達順位を示すホワイトボード。写真判定中は馬番の上か下には必ず半括弧で括ってあるが、オーナーや厩舎関係者、報道陣もボードに書かれた数字をそのまま決定着順と思いがちだ。先日の天皇賞のように僅差の接戦だと、入線順の数字と確定後の馬番が入れ替わることもごく稀にあるそうだ。
★VTRの黒線はゴールではない?
レース直後にターフビジョンなどで流れるスローVTR。この映像でファンが頼りにするのがゴール板上に引かれている黒いライン。しかし、このラインは必ずしも勝負を決する線ではない。「あれは針金のワイヤーで、あくまでも目安。ゴールはカメラのスリットを通った瞬間」(久保氏)。モニターでは同着に見えても、3台のカメラがしっかりと白黒をつけるからだ。
★ハナ差ってどれぐらい?
人間と違って馬のハナはデカい。通常、ハナ差は20センチ程度以下とされている。ちなみに20超〜40センチがアタマ差、40超〜80センチがクビ差、1馬身が約2.5メートルとなっているようだ。

http://www.sanspo.com/keiba/news/081111/kba0811110503002-n1.htm

まあ大変な仕事ですなあ。多くの人のお金がかかっているし、たとえば未勝利戦ならその馬の今後の人生にも影響してしまいます。お疲れさまです、がんばってください。