ハンデキャッパー

アジョイ重賞Vも斤量1キロ増
今週の新潟日曜メーンは、サマー2000シリーズ最終5戦目の新潟記念ダンスアジョイホッコーパドゥシャアルコセニョーラが勝てばシリーズチャンピオンのチャンスが残っている。大事な一戦のカギを握るのがハンデ。新潟記念のハンデについて、JRAのハンデキャッパー、高木辰夫調査役を直撃した。
−−小倉記念はなんと1着から13着までが0秒4差、2馬身圏内の大接戦でした
(高木)ゴールで横一線の接戦になるのは、ハンデキャッパーとしてうれしいですね
−−今回の新潟記念ではその小倉記念で勝ったダンスアジョイが1キロ増の56キロで、七夕賞で2着に敗れたアルコセニョーラも同じ1キロ増です
(高木)接戦の決着で終わった場合、そのハンデをいじりにくいということがあります。ダンスアジョイの場合、小倉記念がハマッたとはいわないですが、2キロ増やすのはどうかという気がします。それで1キロにとどまったんですね。アルコは昨年も同じローテーションで新潟記念を勝っています。七夕賞を勝ったミヤビランベリが出走しないのならば、1キロ増やそうかということですね
−−ホッコーパドゥシャ小倉記念2着、七夕賞3着で0.5キロ増。両方で負けているにもかかわらずハンデが増量されました
(高木) 新潟記念のハンデを決める際に3人のハンデキャッパーの共通した意見はエアシェイディマルカシェンクエリモハリアーの序列です。エアは有馬記念で3着があるけど重賞は1勝(’08GIIAJCC)なので58キロ。マルカは京都金杯で57.5キロで2着していますが、ややマイラーですから据え置き。エリモはハンデ重賞を何度も勝っていますから57キロ。エリモが小倉記念と同斤ならば、負けているとはいえ上位に来ているホッコーは少し上げようか、ということで0.5キロが課されたわけです
−−上位だけど負けているから1キロは上げられない
(高木) そうですね。上げないのは嫌だけど、他の馬との兼ね合いで1キロ上げられないから0.5キロです。要するにハンデをつけるのは馬の序列を決めるということなので、この馬より上だけど、この馬よりは下、というときに当てはめるのに0.5キロという数字が出てくるわけです
−−エアシェイディは約6カ月の休み明け。そのあたりは考慮されないんですか
(高木) 6カ月ぐらいではほとんど考慮しません。特にエアの場合は休養前、一線級と互角に戦っていますからね。これがまったくダメな成績だったら、考慮したかもしれませんが
−−函館記念で0秒1差の3着のメイショウレガーロは据え置きの55キロ。この時勝ったサクラオリオンがGII札幌記念で3着に健闘したことは加味されないのでしょうか
(高木) 確かに、負かした馬が後に活躍していると考慮されますが、メイショウは負けています。それに函館記念は展開に恵まれた部分もありますから
−−いまの話を聞いていると、ハンデキャッパーの主観も入っているのかと思いますが
(高木) ファンの方と同じ感覚だと思います。だから3人がそれぞれにハンデをつけて、後で照らし合わせる合議制を取っているわけです
−−新潟記念は、ダンスアジョイの1キロ増止まりが恵まれているように感じました
(高木) 2キロ増えるべきところを1キロで済んでいると見るならば、馬券を買ってみてもいいんじゃないでしょうか。この新潟記念も接戦になる、ファンの皆さんに楽しんでもらえるハンデになっていると思いますよ
★記者の目
ハンデキャッパーは過去の着順、着差の数字を冷静に比較してハンデをつけるという印象だったが、意外にも主観が入った人間的な付け方をしているということが分かった。除外対象だが1600万下のスマートギアにオープン馬並みの55キロが課されたのも、「天の川Sで上がり32秒2の脚を使って勝てなかったのは位置取りの差が大きい。もし勝って新潟記念に登録していたら55キロより重かったでしょう」(高木調査役)と、勝てなかった事実以上に、その馬の能力をハンデで表しているようだ。
小倉記念のレベルを高いと評価するのか、低いと評価するかは意見が分かれるが、ダンスアジョイの1キロ増にハンデキャッパーの評価が表れている。個人的にはアルコセニョーラホッコーパドゥシャのハンデ増は厳しく、メイショウレガーロの据え置き55キロはおいしい気がするのだが…。

http://www.sanspo.com/keiba/news/090825/kba0908250505007-n1.htm