グランプリ

フェスタVブエナを差し切った/宝塚記念
8番人気の伏兵ナカヤマフェスタ(牡4、二ノ宮)が直線鮮やかに差し切り、ブエナビスタを負かす番狂わせを演じた。柴田善臣騎手(43)は4年ぶりのG1勝利。和泉信一オーナーは1次登録している凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月3日=ロンシャン)挑戦を明言した。
アーネストリーとのたたき合いにブエナビスタが決着をつけた、その時だった。外からピンクの帽子がグングン迫る。ナカヤマフェスタだ。あん上が1発、2発と左ステッキを入れるたび前との差を詰め、女王を外から差し切った。「道中はすごくいい感じだった。前向きさも出たので何とかなるかなと。周りの馬を気にせず、自分の馬の力を信じていた」。柴田善は前回からコンビを組んだパートナーの強さに胸を張った。
デビュー2戦目に東スポ杯2歳Sを制し、極悪馬場のダービーで後方から追い込み4着に入る素質馬だった。が、昨秋のセントライト記念前から気難しさをあらわにし始めた。その1週前追い切りでは当時主戦だった蛯名騎手を振り落とし、前日輸送のある遠征競馬では自ら走るのをやめるようになってしまった。
今年初戦のメトロポリタンSを前に、陣営は気性面の対策を立てた。馬場入りを察知してゴネないよう、集中して走れる坂路追いに変更。引き運動では必ず調教担当の佐々木助手を背に堀内調教厩務員が引くことで落ち着くようになった。そして1週前からは栗東滞在もさせた。二ノ宮師は「どうしたら馬にストレスがかからないやり方があるか、みんなで決めた」。厩舎一丸になっての立て直し。「スタッフが馬と会話ができるようになった。ダービー後は難しい馬になってしまったが、前回勝ってからコミュニケーションが取れるようになった。結果はついてくるものだが過程が大事」と胸を張った。陣営の努力が結実した。
名付け親であり前オーナーだった和泉信子さん(享年55)は昨年、食道がんで亡くなった。引き継いだ父信一氏(83)は「ゴールの瞬間は驚いた。重馬場にもならなかったしね。きっと娘が後押ししてくれたんだと思う」としみじみ語る。天国で見守るオーナーの思い通り、競馬の祭典でフェスタはよみがえった。そして「勝っても負けても行こうと思っていた」と、1次登録のある凱旋門賞参戦を明言した。
二ノ宮師は「準備はしている。それも選択肢のひとつ」としながらも「馬主さんの思いを大事にしたい」と前向き。エルコンドルパサーで2着惜敗の借りを返しにいく。グランプリホースとなったナカヤマフェスタ。次は世界の祭典で驚かせる。

http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20100628-646725.html

ブエナビスタを差して勝つ、ってのはすごいことです。

オーナー感激「娘が後押ししてくれた」
中山馬主協会最高顧問を務める和泉信一オーナー(83)は「夢だった」と言うG1初勝利に「いや、驚きました」と笑顔。「馬主の中で私が一番古いんじゃないですか。国営時代の昭和24年から馬を持っていますから」。昨年、同じく馬主で宝塚歌劇の大ファンだったという娘の信子さん(享年55)を病気で亡くしており「娘が後押ししてくれたんだと思います」と話した。

http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2010/06/28/05.html

「本当に…」新井牧場、悲願の初V
ナカヤマフェスタを生産した新井牧場は悲願のG1初優勝。表彰台に上がった新井誠代表(50)は「直線に入るところで一瞬見失って。ゴール前、数十メートルのところで周りの人がフェスタの名前を呼んでいて本当に来たんだと…。G1制覇は初めて。牧場にいた時はおとなしい馬で手が掛からなかった。ちょっと信じられません。馬主さんにも喜んでいただき、本当に良かった」と感無量の表情だった。

http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2010/06/28/06.html