函館の鬼

ハリアー同一重賞4勝に挑む/函館記念
函館記念(G3、芝2000メートル、25日=函館)で過去3連覇の実績を持つエリモハリアー(せん10、栗東・田所秀)が、史上初の同一重賞4勝目に挑む。当地で現役最多の4勝を挙げ、現役にもかかわらず函館競馬場のメモリアルホースに名を連ねるコース巧者。函館ラストランとなる古豪がミラクルを起こすか−。
函館競馬場3階のメモリアル展示場には、エリモハリアーの写真パネルが、ニッポーテイオーサッカーボーイなど函館で輝いた名馬とともに飾られている。現役馬としては異例の扱いだが、生粋の函館巧者として記憶にも記録にも刻まれている証しだ。函館記念3連覇を含め当地【4 1 0 4】と屈指の実績。4勝は現役最多で、同一重賞4勝目を達成すれば史上初の快挙となる。
デビューから62戦、苦楽をともにしてきた谷中康範厩務員は「本当によく走ってくれている。頑張ってきたご褒美かな」と照れくさそうに愛馬を見つめた。
今年10歳を迎えた。人間なら40〜50歳に相当する。函館参戦は6年目で、今年が函館ラストランとなる可能性が高い。それでも“自分の庭”に来ると自然と馬が変わってくる。谷中厩務員は「さすがに年を取った」と前置きしながらも「やっぱり水が合うのかな。毛づやとかすごく良くなってくるんだ」と温和な表情を浮かべる。
函館競馬場グランドオープン記念16着後、中2週で福島に遠征して七夕賞に出走(14着)、14日に再び函館に戻った。強行軍でも、たたき良化型らしく徐々に状態は上がってきている。思えば函館記念3連覇した年は、屈腱(けん)炎で10カ月の休養から復帰し、初戦巴賞11着から巻き返した。再び奇跡を起こせるか。「まずは無事で。でも、雨が降って馬場が悪くなったら出番があるかも」。功労馬のラストランで、競馬の神様が再びほほ笑んだらきっとすてきだ。

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