サクラバクシンオー産駒3頭

逃げのヘッド
短距離王を決めるスプリンターズS(G1、芝1200メートル、10月3日=中山)は、90年にG1昇格。唯一このレースを連覇し「スプリンター」の評価を高めたのが93、94年の覇者サクラバクシンオーだ。今年はヘッドライナー(せん6、栗東・西園)ダッシャーゴーゴー(牡3、栗東・安田)サンダルフォン(牡7、栗東・松永幹)の産駒3頭が出走予定。勝てば初の父子制覇となる。
ヘッドライナーの西園師は「ヌレイエフの肌にバクシンオーだからね。スピードはね、もう爆発的なものを持ってるんです」。6歳で期待通りに才能を開花させた同馬に目を細める。6月のCBC賞を逃げ切って重賞初制覇。2度目のG1で戦法に迷いはない。「今回はハナに行きます。前走のような2番手より、やはり単騎でいった方がいい。外国馬(ウルトラファンタジー)がわからないけど、ローレルゲレイロよりはうちの馬の方が速い」。堂々の逃げ宣言だ。
馬名の意味は「主演者、大スター」。ただ、【11 2 1 7】という華麗な戦歴を残した父とは異なり、ここまでは苦難の道のりを歩んできた。1歳時に左前脚の種子骨を痛め、ひざと球節が同じくらいの大きさに腫れる大病を患った。デビューは3歳4月。師は「血統から絶対に芝で走る」と確信しながらも脚部不安のため、9戦目まですべてダートを走らせた。「去勢時期も2勝を挙げた4歳春で遅かった。手術で走らなくなる馬もいるけど、いい方に向いた」。昨春のオープン入り後は好位から伸びきれないレースが続いたが、昨年末の尾張Sを逃げ切ってから成績が安定し始めた。
函館スプリントS取り消し後は北海道の社台ファームへ放牧に出され、宮城・山元トレセンを経由して栗東へ帰厩した。前走セントウルSは見せ場十分の4着。「いいガス抜きになった。今はすごく落ち着いているね。中山の坂とは違うけど、押し切るイメージができた」。芝の連対実績は平たんの京都と中京のみだが、阪神での好走は急坂克服への大きな自信になった。
今回は内田騎手との初コンビで臨む。「春に比べると少しメンバーが浅い気がする」と師の口からは本音も漏れた。高松宮記念は4角を回って直線残り100メートルまで先頭。勝ち馬とのタイム差はわずか0秒3だった。「今回もああいう形になる」と自信に満ちた表情で話す。天候、馬場の悪化には雨中のCBC賞を経験した強みがあり、過去10年で4角先頭の馬は5勝2着1回と好成績。すんなりハナに立てれば父子制覇のゴールを切るのはこの馬だ。

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先行のダッシャー
セントウルSを制して勢いに乗る3歳馬ダッシャーゴーゴーは、好位から抜け出してくるバクシンオー第2の矢だ。この日は坂路をキビキビと駆け上がっていた。安田景助手は「前々走が消化不良だったので、前走はきっちり仕上げた。中2週は初めてになるけどこれまでは使うレースがなかっただけ。大型馬なのでビシビシやって行けた方がいい」と話す。夏を3戦したダメージもなく若い力で父子制覇を狙う。

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差しのサンダル
バクシンオー第3の矢として最後方から一発を狙うのがサンダルフォンだ。セントウルSでは外からかぶされてスムーズさを欠いたが、上がり33秒台の末脚を繰り出した。先行力が武器だった父とは正反対の脚質だが、前崩れになった時には最後に飛び出してくる。松永幹師も「状態は変わりないのであとは展開次第。位置取りはスタートを出た感じでどうなるかわからないけど、流れが向かないと」と話していた。

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