スティルインラブのときほど感動がないのはアドマイヤグルーヴがいないから

アパパネ史上初2歳女王3冠達成
やはり本番に強かった。トライアルでは4着に敗れていたアパパネ(牝3、国枝)が、蛯名正義騎手(41)に導かれて史上3頭目牝馬3冠を達成。2歳時の阪神JFを含めた世代4冠という史上初の偉業を達成した。
蛯名とアパパネ、そして福田調教厩務員は一番先にゲートに入り、スタートを待った。「大丈夫、お前なら大丈夫だよ。大丈夫」。ジョッキーが何度も何度も声を掛ける。春2冠に比べてゲート裏ではうるさい面を見せていた。それでも、馬上から伝わる頼もしい声と、優しく顔をなでる厩務員のしぐさに女王は落ち着きを取り戻した。60秒後、ゲートが開くと、あとはこれまでと同じように人馬一体となってコースを回ってくるだけ。3冠最終戦のゴールも堂々と力強く先頭で駆け抜けた。内から迫るアニメイトバイオとの着差は3/4馬身でも、全く危なげない横綱相撲。
「ホッとしている。自分の仕事をできた。あまりプレッシャーは感じなかったけど、これでいいのかな」。殊勲のジョッキーは笑顔をはじけさせた。「京都コースは初めて走るし、3角過ぎで一瞬手応えが悪くなった。でも、馬込みから外に出してからはよく伸びてくれたね」。03年スティルインラブ以来史上3頭目の3歳牝馬3冠を達成したパートナーを褒めたたえた。「2歳のうちからG1を4つ勝つのは初めてと聞いた。桜花賞は3歳初G1、オークスは距離とか外枠とかあったけど、今回はそれがなかったし、これまでに与えられた課題をすべてクリアしてきたので心強かった。(3冠達成を)信じてはいたけど勝負事だから。自分が邪魔さえしなければ結果はついてくると思って乗った」。
前哨戦のローズSは4着に敗れたが、気持ちは前向きだった。「トライアルはあくまでトライアル。そこで100にはできないから。夏の間も少し休んだとかなくて順調にきた。ひとときも離れずに世話をした調教厩務員がいて、彼に任せておけば大丈夫。感謝している」。
夏は美浦の厩舎で調整。輸送を考慮し、阪神JF桜花賞に続く3度目の栗東滞在で挑んだ。寝食を共にしてきた福田調教厩務員は決戦前日の朝、坂路で最終調整を終えると「先生の指示通りにできた。あー、本当に緊張した」と深呼吸をした。アパパネにかかわるスタッフ全員が重圧と闘い、勝ち取った3冠だった。
次は11月14日京都のエリザベス女王杯。蛯名は「彼女なら古馬相手でもいい走りをしてくれる。素直で芯の強い女の子。史上初のことができただけですごい。無事にいって競馬界を盛り上げてほしい」と願いを込めた。牝馬として初の年間G1・4勝が懸かる。凱旋門賞で世界を熱狂させた男にはアパパネの、その先に広がる無限の可能性が見えているのかもしれない。

http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20101018-691434.html

史上初!金子オーナー牡牝6冠
史上初めての牡牝3冠オーナーが誕生した。05年にディープインパクトでクラシック3冠を手にした金子真人オーナー(65=金子真人ホールディングス代表)は、アパパネ牝馬3冠を達成。NHKマイルCを含め、3歳G1・7レース完全制覇となった。なお3着までが栗東滞在の関東馬国枝栄師(55)が作った道筋の正しさが証明された。
金子代表は引き揚げてくるアパパネを満面の笑みで待っていた。国枝師、そしてディープインパクトを育てた池江泰郎師からも祝福を受けた。史上初の牡牝3冠オーナーの誕生。愛馬の鼻面をなで「よくやった、よくやった」と労をねぎらった。口取りの際には蛯名騎手に「3本指を立てろ」と指令。「経験者だからアドバイスできました」と、6冠オーナーにしかできないジョークが飛び出した。
偉業達成の心境を「ありきたりですけど馬主冥利(みょうり)に尽きる。ありがとうと言いたい」と率直な感想を述べる。それでも、今回の3冠にはひそかな自信も抱いていた。「正直、オークスはちょっときついなと思っていた。今回は経過を聞いてよほどのアクシデントがない限りいい勝負ができると思っていた」。距離と外枠を克服して2冠を達成。もう怖いものはなかった。
これほど強烈な馬運の持ち主もいない。NHKマイルCも含め、3歳G1完全制覇も史上初めて。名馬との出会いの秘訣(ひけつ)を「縁ですかねえ」と笑う。ただ、ディープとアパパネには共通点があった。「最初に見た時に、ひたすらかわいいなと。目のきれいな、かわいい馬だった」。見初めたスターホースには常に愛くるしさと内に秘めた強さがある。アパパネの母ソルティビッドも、米フロリダのトレーニングセールで「すごくきれい」と一目ぼれして購入した馬。運命的な出会いが伝説への序章だった。
代表の口からは「女王杯に向けて全力投球です。そのあとはいろいろ選択肢がある」と、11月14日京都のエリザベス女王杯(G1、芝2200メートル)参戦が明言された。黒と黄色に青い袖。最強の勝負服をまとったアイドルホースの伝説は始まったばかりだ。

http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20101018-691435.html

いやいや、正直言って全然感動がないのですよ。なぜかと考えたらやっぱり標題に書いたようにスティルインラブvsアドマイヤグルーヴ、のような明確な対決構図がないことかなと。