マイルチャンピオンシップ回顧

レコード決着。初のG1の栄光に浴したのは、エーシンフォワード。岩田騎手が「らしい」騎乗で最後の最後、しのぎきった。
レコードタイムを演出したのは、ジョーカプチーノの逃げ。逃げ宣言をしていたマイネルファルケを制してハナに立つ。松岡騎手からすれば、もっとジックリとペースを作りたかったところ。だが、もともとスプリント路線を歩んでいたジョーカプチーノダッシュ力は一枚上。アッサリと先手を取ると刻んだペースはハイペース。半マイル45秒3は過去10回で最速タイ。前後半の半マイルが45秒3−46秒5と厳しいペースが作り出された。こうなれば、当然前は総崩れ。2番手で進んだマイネルファルケは、中途半端なレースということもあって直線入り口で力尽き、逃げたジョーカプチーノも9着と大敗。そして、3番手と積極策を採った5番人気スマイルジャックも6着がやっと。一方で、後方で控えていたダノンヨーヨー、サプレザら人気馬は、展開を利して最後強烈な差し脚を繰り出して掲示板。
差し馬向きとなった今回のレース。レースを制したのは中団にいたエーシンフォワード。だが、上位馬の差はほんの僅かで、上位4頭は同タイム。何が明暗を分けたか。馬の力ももちろんではあるが、この差は騎手の差。言うまでもないが岩田騎手得意の「インコース作戦」だった。他馬が直線に入る前に早々と外を志向したのに対して、この馬は先団の後ろでずっと我慢。4コーナー回ってから仕掛けると、うまく先団馬群のインに入ると前に壁もなく視界良好。京都外回りは下り坂で直線に向かうため、外に馬群がばらけやすく、道中前にしていた先行馬群は4コーナーで遠心力で外へとスライド。そのため、インを回り続けたこの馬の進路は簡単に確保。大外を回ったダノンヨーヨーらもよく伸びたものの、ここでの距離の節約が、最後のクビ、ハナ、ハナの僅差の勝負を制した。岩田騎手のこの作戦は、時に裏目に出てしまい、馬群に包まれて終わってしまうこともあるが、京都のような特殊な形状のコースは合っている。事実、岩田騎手は京都コースで重賞13勝。最も多くの勝ち星を挙げている。スタート直後に前を深追いせず、中団に位置して脚をためたのも良かった。もちろん、馬の方も立派。人気が全くなかったが、馬っぷりがよく、状態面では復調していただけに、春の勢いを考えればこれぐらい走っても不思議はなかったが…。今日は岩田騎手の腕が大きい。
2着ダノンヨーヨーは上がり馬ながら、勝ちあがりの内容の良さで1番人気。だが、前半はG1でのハイペースに戸惑ったか追走がやや遅れて最後方に近い位置となってしまった。4コーナーまで位置取りは変わらず、最後の直線だけの勝負。瞬発力がウリのこの馬にとっては、悪くない展開となったが4角で進路が狭まり、コースロス。岩田騎手にうまく乗られてしまったこともあり…。33秒6の脚で負けては仕方がない。この馬にとってはいい経験になっただろう。3着ゴールスキーも上がり馬で連勝中だった。道中は勝ち馬の外。やや早めに外に回って差しに行ったが…。4着サプレザは、昨年と同様に差す競馬を試みて、前年を上回る上がりで突っ込んだが…。2〜4着はコース取り、展開ひとつで着順は変わると思われるほど僅差の争いだった。
6着スマイルジャックは川田騎手に乗り替わっての参戦。先行馬に厳しい競馬で…。中距離もこらせるスタミナで耐えていたが、直線半ばで力尽く。直線入る直前ので加速し続け、残り400mの直前の区間が11秒1と過去最速。ここまで厳しい流れとなってしまうとさすがに…。だが、この着順で踏ん張ったのは大したもの。7着トゥザグローリーは2着馬と同じような位置で脚をためたが…。マイルでのこの速い流れに戸惑ったか…。久々のこの距離だったため、決して通用しないということではないと思うが、ベストは中距離での先行策だろう。
13着キンシャサノキセキは、外枠で前に壁を置けず、前半このペースでも行きたがるところを見せていた。中団後ろの位置取りは悪くなかったが、直線では伸び切れなかった。気性がどうというよりも、現状はスムーズにスピードが活かせるスプリント戦が合っている。

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