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戦没者氏名、国から靖国神社への提供は違憲 大阪高
太平洋戦争の戦没者らの遺族8人が「意思に反して靖国神社に親族を祭られ、故人をしのぶ権利を侵害された」として、神社と国を相手に神社が管理する「祭神簿(さいじんぼ)」などから氏名を消すことなどを求めた訴訟の控訴審判決が21日、大阪高裁であった。前坂光雄裁判長は、遺族側の請求を退けた一審・大阪地裁判決を支持して遺族側の控訴を棄却した一方、国が戦没者氏名などの情報を靖国神社に提供した行為については「憲法政教分離原則に違反する」とする初めての判断を示した。
原告は近畿、中四国、北陸に住む66〜83歳の男女。父や兄弟が戦死・病死して靖国神社に合祀(ごうし)されたことについて「取り消しを求めたのに祭られ続け、親族を敬愛追慕する人格権を侵害された」などとして、国が持つ氏名や死亡年月日などの情報に基づく祭神名票、それをもとにした祭神簿、儀式用の霊璽簿(れいじぼ)からの氏名抹消と遺族1人につき慰謝料100万円の支払いを求めていた。
昨年2月の一審判決は、護国神社への自衛官の合祀を拒否した遺族の宗教的人格権は法的保護の対象にならないと判断した「自衛官合祀拒否訴訟」の最高裁判決(1988年)を踏まえ、「遺族が主張する感情は不快や嫌悪の感情としかいえず、法的に保護するべき利益とは言えない」などと指摘。国の責任についても「事実上の強制とみられる何らかの影響力があったとは言えない」と判断した。
控訴審では、クリスチャンの男性原告を除く原告8人について「遺族が侵害されたのは最高裁判決で否定された宗教的人格権ではない」とする訴えが法的保護の対象になるかや、国の違憲性が主な争点になっていた。

http://www.asahi.com/national/update/1221/OSK201012210089.html