昭和は遠くなりにけり

桂米朝さん「いとこいさん、上品の極みや」
しゃべくり漫才の名人芸で知られた兄弟コンビ「夢路いとし・喜味こいし」の弟、喜味こいしさん死去の報に、桂米朝さんらが故人を悼むコメントを出した。

また一人、昔話をする人が減ってしもて、淋(さび)しい限りです。いとこいさんの漫才には品がありましたな。一切お客さんをいらわずに、2人の会話だけで進めて行く。呼称は常に「君」と「僕」。決して「おまえ」、「どついたろか」といったドぎつい言葉は使いません。上品の極みや。今の漫才さんの中に、このスタイルを受け継いでくれる人がおるかしらん。こいしさんは私より二つ年下やが、芸歴は私より古いんです。旅芸人の一座に生まれ育ったんでっさかいな。彼と古い話をしだすと、もう止まりません。最近も放送局の控室で何時間も話し込んだことがありました。(落語家・桂米朝さん)

今月17日に病院に呼ばれて、「しんどい、もうアカン」とつらそうに言うんで「兄ちゃん、みんなのためにもがんばらなアカン」と励ましたばかりでした。本当に悲しい、涙が出ます。昔からやんちゃ坊主で、曲がったことが嫌いでした。若い人の手本になるしゃべくり漫才で、みんなに尊敬されていたんです。ご冥福をお祈りします。(交友が半世紀以上に及ぶ「かしまし娘」の正司歌江さん)

http://www.asahi.com/obituaries/update/0123/OSK201101230060.html