はっぴーバス

バス停は自分の名、乗りやすい 兵庫のNPOが地域バス
個人名のバス停も設けるきめ細かい路線のコミュニティーバス「はっぴーバス」が2月1日、兵庫県加西市に登場する。NPO法人が中心になって運営し、市北部の集落の細い路地を縫って走り、市街地の民間バスに乗り継ぐ。小型バスで小回りを利かせ、車を運転できないお年寄りらに役立ちたいという。
加西市大内町。280人の住民の4人に1人が65歳以上のお年寄りという集落の細い路地に、バス停ができる。
藤原正一さん(69)の自宅前にあり、その名も「藤原正一前」。
「自分の名前が公になるのは嫌だなあとも思うが、バス停の場所はこれが一番分かりやすいから仕方ない」と藤原さん。地元の区長から要望を受けて設置したという。
市北部の西在田(ありた)地区と在田地区の一部を走るはっぴーバスの路線にできるバス停は70カ所。このうち10カ所が個人名で、ほかにも商店跡の「赤松店前」、福祉施設の「どっこいしょ前」など地元でなじみのある名称が並ぶ。加西市と地元住民でつくるNPO法人「原始人の会」(池田孝一理事長)が運営し、地元の観光バス会社が運行する。
両地区では1月末まで幹線道路を別のバス(定員約40人)が走っている。しかし、週2日の1日3往復で、市の担当者は「決して便利とは言えなかった」という。1日の利用者は10人程度だった。
はっぴーバスは、定員12人の小型バスで平日4〜6往復走らせる。これまでバスが通れなかった細い路地や集落の奥まで行き、バス停は3倍に増やした。市街地を通るバスと接続し、市立加西病院や大型スーパーにも行ける。
個人名のバス停「増家松雄前」の近くに住む見雪(みゆき)多賀子さん(78)は「1日の便数も増え、買い物に行きやすくなる。喜んでますねん」。「赤松店前」近くの女性(61)も「病院に行く時に利用したい。家のすぐ前から乗れるのは楽でいい」と話す。
運賃は半年間は無料。利用状況をみて8月以降の運賃を決めるが、課題は採算だ。1年目は運行費用など1100万円全額を国と市の補助金で賄うが、2年目以降は市が年間650万円を負担し、NPO法人は150万円程度の運賃収入がないと赤字になる。
池田理事長は「無料期間中に地域でバスに乗る文化が芽生えると思う。利用者に観光ツアーも用意するなど利便性をさらに高めれば採算が合うようになる」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0129/OSK201101280175.html