南部杯

トランセンド、凱旋V狙う
注目の初対決だ。JRAのダートG1・フェブラリーSジャパンCダートを双方制したトランセンドエスポワールシチーが、東京のマイルでいよいよ激突する。ドバイワールドC2着馬VS統一ダートG15勝馬。先行力を武器とする2頭が、プライドを懸けて火花を散らす。トランセンドを管理する安田隆行調教師は先週行われたスプリンターズSカレンチャンでV。2週連続G1制覇の期待もかかる。
日本馬によるワンツーフィニッシュという歴史的瞬間に、日本中が熱狂した3月のドバイワールドC。夢の片棒を担いだトランセンドが、198日ぶりにホームグラウンドに帰ってくる。
注目の帰国初戦。だが現ダート王の視線の先は、すでに来春へ向いている。「じっくりと時間をかけて、来年のドバイまで戦う体をつくってきました。今まではチャレンジャーでしたが、今はチャンピオンとして君臨している。胸を張って立ち向かいたい。当面の目標はJCダート(12月4日・阪神)ですが、ここらで負けられない馬ですからね」。リベンジへの熱い思いを胸に、安田師は凱旋Vを誓った。
やや早めにも思える、7月3日に栗東へ帰厩。坂路とポリトラックを併用して、十分過ぎるほど乗り込まれてきた。9月28日の1週前追い切りでは、栗東DPで6F74秒2‐35秒7‐12秒6の猛時計を記録。テンに飛ばした分、さすがにお釣りがなかったが「しまい止まる感じでいこうと思っていた。心肺機能の強化を目的にね。このパターンで調教はずっとやってきている。予定通り」と担当の山下助手は力強い口調で返した。
猛暑がこたえた昨年とは違い、今年はスムーズに夏を乗り越えた。「去年の夏はあまりよくなかった。日本テレビ盃(2着)のときは“まだかなあ”という状態でしたから。それに比べれば、今年はすごく順調です」と指揮官。馬体重も最新の計量で530キロ。「ドバイでは量りませんでしたが、おそらくプラス体重だったと思う。今回は輸送して520キロぐらいでの出走になると思います」。2月のフェブラリーS時が514キロ。仕上げに抜かりはない。
復帰初戦に南部杯を選択したのは「JCダートへ向かうには一番いいローテだと思ったから」と安田師。それゆえ、この一戦でエスポワールシチーと初めて肌を合わせることになった。「2年連続で最優秀ダート馬に輝いた実力馬。彼に勝たないと真の意味で称号が得られない」と口元を引き締める。
その先には、交流重賞を総なめにしているスマートファルコンとの激突も控えているが、指揮官の熱い思いにブレはない。「目標とするドバイへ、まずは南部杯をきっちりとモノにしたい」。復帰戦でエスポワールシチーに勢いの差を見せつけ、リベンジへの第一歩を踏み出す。

http://www.daily.co.jp/horse/2011/10/04/0004522706.shtml