嗚呼

三陸の鳥は待ってるのに 日揮社員、同級会前に被害 アルジェリア人質事件
事件に巻き込まれた日揮社員には東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町生まれの男性社員もいた。地元の友人たちはテレビニュースなどで知ったという。
環境調査業をしている三浦孝夫さん(64)は50年来のつきあい。中学時代、地元の子どもたちがつくる「志津川愛鳥会」で知り合った。真面目で、鳥を観察する能力はずば抜けていた。
三浦さんによると、この社員は東工大を卒業後、日揮に入り、アルジェリア一筋だった。帰省すると、三浦さんの自宅を突然訪れ、一緒に日本酒を酌み交わした。
話題のほとんどは鳥。「アルジェリアで仕事をしている時には、こんな鳥が飛んでいるんですよ」と楽しそうに教えてくれた。仕事のことはほとんど話さなかったが、言葉の端々から企業戦士としての自負が伝わってきた。
最後に会ったのは5年前。お土産にもらった砂漠の砂を入れた小瓶は、津波で三浦さんの自宅とともに流された。「また、一緒に野鳥の観察をしたい」
2月2日に地元のホテルで還暦祝いの同級会が予定されており、この社員からも出席の連絡がきていた。当日はホテルに泊まらずに町外の仮設住宅に一人で暮らす母親の家に泊まる――。小中学校の同級生で幹事役の横山孝明さん(59)にそんな内容の手紙が届いていた。
「前に出るようなタイプではなかったけど、芯があってしっかりとしたまじめなやつ」
同級会は18年ぶり。「同級生240人のうち、100人以上が集まる盛大な会になるからとても楽しみにしていた。悲しい報告はしたくない」
中学まで同級生だった菅原明美さん(59)は子どもの頃、いっしょに誕生会に参加したり、野鳥観察会に出かけたりしたのを覚えている。「震災で何人か同級生を失った。何十年たっても同級生は同級生。何で、という思いだ」

http://digital.asahi.com/articles/TKY201301220500.html