快挙!

メタンハイドレート、愛知県沖で採取 世界初、海底から
経済産業省は12日、愛知県の渥美半島沖の深さ約1千メートルの海底の地下約330メートルにある「メタンハイドレート」から天然ガスを取り出したと発表した。メタンハイドレートは「燃える氷」と呼ばれ、将来の国産燃料として期待されている。海底にあるものからガスを取り出したのは世界で初めて。12日午前9時半ごろにガスを取り出し、10時ごろにはガスを燃やして出る炎も確認された。
経産省の委託を受け、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が渥美半島から約80キロ、志摩半島から約50キロの海域で取り出しに成功した。経産省は2018年度までに生産技術を確立し、国産燃料として生産する目標をたてている。
取り出し作業は12日午前6時前から始まり、ポンプで周辺の水をくみ上げることで地層の圧力を下げた。圧力が下がると、メタンハイドレートは水とメタンガスに分解される。
こうして出てきたガスをパイプで引き上げ、海に浮かぶ海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」が回収した。今後2週間ほどかけて数千〜数万立方メートルのガスを取り出す計画だ。
JOGMECは昨年2〜3月、水深約1千メートルの海底からさらに330メートル掘り進めたメタンハイドレートの地層まで井戸を掘り、そこにパイプを差し込む「事前採掘」をした。今年1月末からはガスを取り出すための最終作業を進めてきた。
ハイドレートとは水と物質が結合した「水和物」で、メタンハイドレートはメタンと水が結びついて結晶化し、シャーベット状になっている。これを分解すると170倍の体積のメタンガスが発生する。
シベリアやアラスカの永久凍土層や水深500メートルより深い海底の下にある。日本近海にも世界有数の埋蔵量があるとされ、日本の天然ガス消費量の100年分と推定されている。とくに渥美半島沖には11年分があるという。日本海の海底にも眠っているとされる。
日本は火力発電のための液化天然ガス(LNG)の輸入が増えており、国産ガスに期待が集まる。経産省はこれまでに588億円をかけてメタンハイドレートの埋蔵量の調査など進めてきた。ただ、海底深くにあるガスを安い費用で安定的に取り出す技術はまだ確立されていない。

http://digital.asahi.com/articles/TKY201303110894.html