ひとりがんばっている近鉄

あべのハルカス目標高すぎた? 開業1年、集客数届かず
大阪市阿倍野区に複合ビル「あべのハルカス」が全面開業して7日で1年を迎えた。300メートルの高さと百貨店の広さという二つの「日本一」を自己PRして集客をめざしたが、1年の実績は目標を下回る。2年目に向け、周辺を巻き込んでの魅力づくりに活路を見いだす考えだ。
ハルカスを運営する近畿日本鉄道は1年前、ハルカスを起爆剤にして、阿倍野地区をキタ、ミナミに続く大阪市内の「第三極」に育てる、と意気込んでいた。
しかし、ハルカスを訪れた客数は約半年の8月末で目標を4%下回った。目標にしていた年4740万人は達成できなかったとみられる。
内訳をみると、展望台の客数は目標より6割多いほか、ホテルも堅調。誤算は、百貨店の不振だ。
近鉄は百貨店を、営業面積で日本最大の10万平方メートルとアピールし、ハルカス全体の9割を超える4500万人が訪れるとみていた。しかし、若者向けの売り場や地下の食料品売り場が振るわず、8月までの来店客は目標の9割以下のペースに低迷。全面開業半年で早くも改装によるてこ入れを迫られた。
開業時にたてた2015年3月期の売り上げ想定はハルカス全体で1530億円。しかし昨年11月、百貨店の伸び悩みを理由に16%に当たる250億円分、下方修正した。
■巻き返しへ観光客誘致
ハルカスだけで地区全体を盛り上げるには力不足と痛感した近鉄は、すそのを広げる作戦を強化する。
ハルカスの北西に広がる天王寺公園近鉄は今年10月から、その一部の管理を大阪市から引き受けることにした。計3万2千平方メートルの敷地に芝生の広場やフットサル場、レストランやコンビニをつくり、通天閣がある新世界や四天王寺から観光客を呼び込む。
外国人観光客の呼び込みにも力を入れる。ハルカス内の百貨店の2月の売上高に占める免税品売り上げは約2%。ミナミにある高島屋大阪店や大丸心斎橋店の5分の1にすぎず、外国人の買い物客を取り込めていないことが百貨店の不振につながっているとされるからだ。
近鉄は、天王寺公園にある観光バスの乗降場の管理も引き受け、外国人観光客をハルカスに誘導できるように改善。4月中には百貨店内に外国人専用のサロンスペースを設ける。関西空港とも手を結び、買った物を関空まで宅配するサービスも始める考えだ。
近鉄はさらに、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と1月に提携。外国人客は専用入り口からUSJに入れ、ハルカスも巡るツアーを旅行会社に企画してもらった。USJの客の目がハルカスにも向くことで、外国人客が年10万人増えると予想する。
ハルカス周辺との協力を積み重ねて、2年目こそ目標の4740万人の達成を、と近鉄は期待する。

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