『オーク・ストリート、右か左か』
1
目覚し時計が、今朝の七時に、鳴った
昨日も、おなじ時間だった
七時半が朝食の時間
妻がどんなことをしゃべるか、聞かなくてもわかっている
おとなりのクロフォードさんとこは新しくプールをつくったわよ
ミラーさんのとこではカラー・テレビを買ったのですって
ウイルスンさんのお仕事はあなたほどはよくないけれど、奥さんは私よりいい服を着ているわ
2
学校へは八時五分につく
校門で子供たちを車から降ろす
そして私は銀行の向こうにある時計塔の前を走りすぎる
八時一五分すぎちょうど
オーク・ストリートの信号で車をとめるたびに、いつもおなじことを私は考える
いつもとおなじようにここで右に曲がるべきか、それとも、左に折れてすべてをすてて逃げるべきか
3
オーク・ストリート、右か左か
毎日、私はこの問題に直面する
どちらがより大きな勇気を必要とするのだろうか
とどまるのと逃げるのとでは
左に曲がればどこかへいける
目覚し時計やスケジュールをほうり出せる
決められた時間に
私が、決められた場所にいなくても
誰も文句をいわない
したいことができて
いつも決まったおなじことをする必要のないところ
人生は一度しかない
4
どちらにすればいいのかよくわからない
これまで私は、オーク・ストリートでいつも右に折れていた
男には決断の時が必要だが
決断によってなにを失いなにを得るか、よく考えなければいけない
誰にとっても人生はギャンブル
どっちに曲がるかによって決まってくる