『オーク・ストリート、右か左か』


目覚し時計が、今朝の七時に、鳴った
昨日も、おなじ時間だった
七時半が朝食の時間
妻がどんなことをしゃべるか、聞かなくてもわかっている
おとなりのクロフォードさんとこは新しくプールをつくったわよ
ミラーさんのとこではカラー・テレビを買ったのですって
ウイルスンさんのお仕事はあなたほどはよくないけれど、奥さんは私よりいい服を着ているわ

学校へは八時五分につく
校門で子供たちを車から降ろす
そして私は銀行の向こうにある時計塔の前を走りすぎる
八時一五分すぎちょうど
オーク・ストリートの信号で車をとめるたびに、いつもおなじことを私は考える
いつもとおなじようにここで右に曲がるべきか、それとも、左に折れてすべてをすてて逃げるべきか

オーク・ストリート、右か左か
毎日、私はこの問題に直面する
どちらがより大きな勇気を必要とするのだろうか
とどまるのと逃げるのとでは
左に曲がればどこかへいける
目覚し時計やスケジュールをほうり出せる
決められた時間に
私が、決められた場所にいなくても
誰も文句をいわない
したいことができて
いつも決まったおなじことをする必要のないところ
人生は一度しかない

どちらにすればいいのかよくわからない
これまで私は、オーク・ストリートでいつも右に折れていた
男には決断の時が必要だが
決断によってなにを失いなにを得るか、よく考えなければいけない
誰にとっても人生はギャンブル
どっちに曲がるかによって決まってくる