ええ話し、かな?

娘が挙式、組幹部の勾留を5時間半停止 大阪地裁が決定
関税法違反などの罪で起訴され、拘置所に勾留されている指定暴力団山口組」直系団体の50代幹部について、大阪地裁が先月、勾留の執行停止を5時間半に限って認め、娘の結婚式に出席させていたことが地裁などへの取材でわかった。本人の病気や親の危篤などでなく、祝い事での執行停止は極めて異例だ。
勾留停止は5月の挙式予定日の午後0時半から午後6時まで認められた。被告側は「服役を繰り返して娘の成長期に不在のことが多かった。娘も結婚式への出席を望んでいる」と申請。大阪地裁が同月10日、警察官と弁護人の同行を条件に、式がある関西のホテルへの一時滞在を認めた。
大阪地検は申請に反対意見を出した。初公判の前ではあるが、被告が否認していて、逃走の恐れがあり、組員で前科もあるとの理由だった。結果的に勾留停止が5時間半に限られ、警察官の警備態勢も整ったとして、不服申し立ての準抗告はしなかった。地裁は今回、同時に申請された保釈は認めなかった。
類似の事案では大阪高裁が1985年、詐欺未遂罪で起訴された男の「弟の結婚式に出たい」とする申し立てで、地裁が認めた決定を検察側の抗告に基づき取り消した例がある。「勾留の必要性や逮捕前の生活状況を考えると、適当ではない」と判断した。

http://digital.asahi.com/articles/ASJ6603ZVJ65PTIL00Z.html?iref=comtop_8_01

組幹部の5時間半に記者が密着 娘挙式で一時勾留停止
勾留中の暴力団幹部を娘の結婚式に出席させた大阪地裁の決定。親族らが詰めかけた式場には、大阪府警の捜査員による厳重な警備態勢が敷かれていた。
被告と関係者の承諾を得て、勾留停止の5時間半を記者が取材した。厳戒警備の中の挙式だった。
大阪市都島区の大阪拘置所前。午後0時半前、刑務官に付き添われ、無精ひげを生やした被告が鉄柵の向こうに現れた。鉄製ドアが解錠された瞬間、勾留の執行停止が始まった。1時間後に挙式の予行演習がある。友人らが出迎え、弁護士とタクシーに乗り込んだ。後方に、捜査員が乗る覆面車両2台が続いた。
午後1時10分ごろ、ホテルに到着。スタッフに誘導され、予約していた上階の客室へ向かう。被告の事情を聴いていた式の担当者は「23年間勤めていますが、初めてのケースです」。
客室に入ると、被告はひげを電動カミソリでそり始める。「時間がない、早く早く」。弁護士がせかす。3分ほどでシャワーを済ませ、モーニング姿に着替えた。予定より10分遅れで、ホテル内の教会に着いた。
純白のドレスに着飾った娘。父親の姿に笑顔が広がり、そして涙が流れた。被告は娘を見つめ、声をかける。「きれいや」。かたわらの妻は「逮捕されて、娘は『バージンロードを1人で歩けない』と泣いていましたから」と話した。
午後2時。親類らで埋まった教会にオルガンの音が響く。被告は娘と腕を組んで場内をゆっくり歩いた。
警察は「披露宴の会場内でも監視したい」と要請していたが、弁護士は「こちらで見張る」と断った。控室のフロアや階段の踊り場、ロビーの腰掛け、庭先……。あちこちで捜査員の目が光る。被告がトイレにたてば素早く移動。みなスーツ姿だが、ネクタイが挙式用ではなく、手提げかばんを手にしていた。
披露宴が進み、午後5時を過ぎたころ、捜査員らが時計を気にし始めた。勾留の「再執行」は午後6時。30分ほど進行が遅れていた。最後の新郎新婦のあいさつまで、被告は滞在できるのか。捜査員は披露宴の終了直後に、上階の客室で再執行する方針を急きょ決め、弁護士に伝えた。
午後5時47分、娘が手紙を読む。「昔から忙しいパパだけど、旅行にいく時、いつも見送ってくれたね」。娘の誕生すら刑務所への電報で知った過去がある被告は、目を閉じていた。
午後5時59分、宴は終了。会場外に出てきた被告に捜査員が歩み寄り、上階へ向かう。客室に入ると、捜査員が「着替えながらでも執行するからな」と告げた。「わかった」と被告。
「ほな、収容指揮書に基づいて拘束する。時間は午後6時4分な!」

http://digital.asahi.com/articles/ASJ696V5TJ69PTIL022.html