久賀さんのコラム

=== The Derby その1===
前回までインド・チェンナイの競馬場の様子をお伝えして、引き続きインドでの戦いの模様をお伝えしようと思ったのだが、その前にお伝えしたい経験をしてしまった。
先週一週お休みをいただきましたが、そこで何をしていたのかというと、先週月曜版において「久賀はテムズ川のほとりで寂しく佇んでいた」という一文があったように、ロンドンへ行っていた。6月の上旬にロンドンへ行くということは、すなわちThe Derbyを見に行くということである。常々、死ぬまでに一度はThe Derbyを現地で観戦したいとは思っていたのだが、オークス前日の府中メイン・メイステークスの馬連万馬券的中の勢いで、航空券とホテル、そしてダービーの入場券を手配してしまった。
世界中でダービーと名の付くレース、あるいはダービーに相当するレースというのはたくさんあってあちこちで行われているが、The Derby、すなわち日本ダービーケンタッキーダービーのように前置きがつかない、オリジナルのダービーといえば当然ながらイギリスで行われている。
イギリスのダービーはロンドン近郊にあるエプソムダウンズ競馬場(以下エプソム)で、毎年6月の第一土曜日に行われる。なお、その前日にはオークスが同じくエプソムにて行われる。今回はオークスとダービーの両方ともに観戦してきた。
The Derbyの歴史は古く、第1回のThe Derbyが行われたのは何と1780年、日本で言えば徳川10代将軍家治の治世であり、また当のイギリスはアメリカ独立戦争を戦っている真っ最中でもある。途中2度の世界大戦の影響でニューマーケットで開催されたことはあるもののレースとして開催されなかった年はないので、2016年のレースで第237回ということになる。ただ、日本であればあちこちに「第○○回日本ダービー」と書かれると思うのだが、イギリス人というのはあんまりそういうの気にしないのか、どこ見ても回数が書かれていない。あちこち探してみたが、オフィシャルのプログラムの「ダービーの歴史」というコーナーにさらっと「今年で237回目」と書かれていた程度だ。
エプソムはロンドンの中心部から南西へ約20キロ少々、距離としてはざっくりと言えば東京の都心から府中の東京競馬場へ行くのと同じくらいの距離にある。だが、実際に行ってみるととてもじゃないが府中と同じくらいのところとは思えない。道中の景色がのどかすぎるのだ。途中に草原があったり、線路脇に鹿が出没したり、携帯の電波が届かないところがあったり。

http://www.mag2.com/m/0000000816.html

私はいちどで良いから東京競馬場日本ダービーを見てみたい。