がんばろう糸魚川

「死んでわびるしか」糸魚川大火、妻の涙の証言に夫は…
新潟県糸魚川市で昨年12月、計147棟が焼けた大規模火災で、火元となった同市大町1丁目のラーメン店の元店主で業務上失火の罪に問われた周顕和(けんかず)被告(73)の初公判が27日、新潟地裁高田支部で開かれた。火災後、「出火のお詫(わ)び」と題した文書を朝刊各紙に折り込んで配り、近隣住民に泣きながら謝罪した被告。起訴内容を認め、公判で語った言葉とは――。
周被告は猫背気味の背中をめいっぱい伸ばして法廷に立った。
裁判長から証言台の椅子に座るよう促されたが、「立っていた方が楽」と話し、そのままの姿勢で答え始めた。「私の不注意で火を出し、大変申し訳なく思っています。皆さんに多大なご迷惑をかけて大変申し訳ありません」。弁護士から火災について言いたいことを問われ、答えた。
周被告は糸魚川市に生まれ、中学卒業後から実家のラーメン店の手伝いを始めた。「思いやりがあって、気持ちが優しい人で働き者」。妻は周被告の人柄をそう表現した。
周被告はやがて経営を担い、妻と長男の3人で店を切り盛りした。幼い頃から仲が良く、ラーメン店の隣で精肉店を営んでいた男性は、周被告を「職人気質な人」と話した。
公判で明らかになった火災当日の様子はこうだ。
昨年12月22日の朝、周被告は仕込み中に鍋に火をかけたことを忘れてしまった。一休みしようと自宅に戻った間に、空だきになった鍋から出火。戻った時にはすでに手遅れだった。駆けつけた消防が見たのは、ずぶぬれでぼうぜんと立ち尽くす周被告。火を消し止めようとホースで水をまき続けた後だった。火の粉が強い南風にあおられて飛んでいった。自身の店と146棟を焼く大火になった。
法廷が静かになったのは、妻が証言台に立った時だ。「あまりにも(被害が)大きくなってしまい、死んでわびるしかないんじゃないかと思いました」と声を震わせた。妻は周被告と長男と3人で、被災した人に謝罪をして回った。返ってきた反応は、心配し、励ます声ばかりだったという。「元気そうだね、よかった」「来てくれてありがとう」。妻が涙ながらにその時の様子を語ると、周被告はうつむき、目頭を押さえた。
周被告が作るラーメンは、地元では評判だった。昔の客から「顕(けん)ちゃんのラーメンをまた食べたい」と言われた。だが、弁護人から「もう作ることはない?」と聞かれると、周被告は「そう思います」と答えた。自らラーメン店の廃業届を出したという。
「これから被災者や糸魚川のために何か具体的に考えていますか?」という検察官からの質問に、「考えてはいるけど何ができるのかな……」と周被告は言葉を詰まらせた。
一つの不注意で、多くの人たちが暮らす街を焼いてしまったという事実。火災から9カ月。自分にできることは謝罪だけという思いが、周被告の言葉からにじんだ。「道で会えば、謝るしかない」
検察側は「被害が甚大だ」として禁錮3年を求刑。弁護側は「強風などの不可抗力が原因で火災が広がった」として執行猶予付き判決を求め、即日結審した。判決は11月15日に言い渡される。

http://digital.asahi.com/articles/ASK9W5TT0K9WUOHB01M.html?_requesturl=articles%2FASK9W5TT0K9WUOHB01M.html&rm=535

火事の前後に行ってますので気になります。おおむかしは3分でのアクロバット乗り換えもあったし。