無題

廃線間近の路線、天空の駅に歓声 乗車できないケースも
来年3月末で廃線となるJR三江(さんこう)線(島根県江津(ごうつ)市―広島県三次(みよし)市)に乗ろうと観光客が殺到している。乗客があふれる列車もあり、ゆったり走るローカル線はまるで都会の通勤列車のよう。JR西日本では、場合によっては乗車できないケースもあると告知している。
三江線は中国地方最長の川、江(ごう)の川に沿うように走る。全長108・1キロ。1930年に開業し、75年に全線が通じたが、1日1キロ当たりの平均利用人員を示す輸送密度は、1992年度の308人から2014年度に50人まで減った。山間部を走り、災害による影響も受けやすく、JR西は昨年9月に廃線を表明。だが、その直後から乗客が急増。紅葉シーズンは観光バスなどで駅に乗り付け、短い区間を乗る団体客が増えた。
祝日だった先月23日、東京都の弁護士中川学さん(36)は友人と2人で、午前10時2分発の列車に乗るため午前8時すぎから三次駅で並んだ。乗客が殺到していることを知り、早めに並んだという。
2両編成の車内は発車30分前からほぼ満員状態。中川さんによると、車内の窓は熱気で曇り、再三拭かなければならず、水分を補給するよう車内アナウンスも流れたという。JR西米子支社によると、気分が悪くなった乗客1人が途中で降車したという。それでも、地上約20メートルにある別名「天空の駅」の宇都井(うづい)駅に着くと歓声が上がり、「予想を超える混みようで驚いたが、みんなでこの路線の最後を惜しむという一体感を感じられた」と中川さんは満足そうに話した。
三次、江津両駅発の列車は普通列車のみで1日わずか5本ずつ。全線を最も速い直通列車で約3時間半かけて走り、日帰りでは十分楽しめない路線として鉄道ファンには知られる。
列車は通常1両か2両。廃線間際となって乗客が増えたが、車両の調達や人員配置の問題があり、車両を増やすのは簡単でないという。米子支社によると、11月上旬には乗車を取りやめた団体ツアーもある。JR西のホームページでは、場合によっては乗車できないケースがあると知らせている。三次発午前10時2分の列車に乗れなかった客への配慮として、搬送用のジャンボタクシーを並走させている。普段は運転士だけのワンマンカーだが、案内役の社員1人を同乗させることもあるという。
この人気列車は島根県川本町の石見(いわみ)川本駅が終点。江津に向かう次の列車まで90分近い待ち時間、駅前は観光客であふれる。廃止が決まる直前にUターンした町観光協会職員の大久保一則さん(31)は「子供のころから閑散としたイメージしかない駅前が観光客であふれ、最初は何が起こったのかと思った」という。
協会は昨年12月、その時間だけ開く無料の休憩所を駅前に設置。特産のえごま茶を試飲でき、町長も時間を作っては訪れ、乗客に町をアピールする。休憩所を訪れた乗客も1万人を突破した。
元協会職員の有田恭二さん(64)は4年前から改札口で乗客を出迎え、出発する列車に、次のように呼びかける。「三江線はなくなりますが、ローカルを楽しむ皆さんの存在が、全国の三江線のような路線を一日でも長く存続させていることを忘れないでください」

http://digital.asahi.com/articles/ASKCY34TVKCYPTIB001.html?iref=comtop_8_01

来年の3月末はどうなることやら。でもやっぱり三江線の醍醐味は江津6:00発三次行きでっせ。