人に歴史有り

名伯楽・伊藤雄二元調教師のまな弟子が合格…調教師免許試験

栗東所属の新規調教師免許試験の合格者3人。左から笹田和秀須貝尚介村山明(撮影・林俊志)

新規調教師免許試験に合格した美浦所属の4人。左から大竹正博尾関知人牧光二、矢野英一(撮影・大里直也)
新規調教師の合格者は、美浦4人、栗東3人の計7人。10数回目の挑戦でついに合格した笹田和秀(ささだ・かずひで)調教助手(51)=栗・梅田智=は、昨年2月に定年で引退した1000勝トレーナー、伊藤雄二元調教師の義理の息子だ。“名門復活”に向けて、新しい挑戦を始める。
苦節15年、信念が実った。昨年2月で引退した名伯楽・伊藤雄二元調教師のもとで長年、調教助手を務めてきた笹田和秀調教助手が、見事に調教師試験に合格した。
試験を受けたのは10数回。「先生のあとを引き継げるよう勉強していました。何度目かわからないくらい(試験は)受けています」。伊藤雄元調教師の娘婿である笹田助手は、偉大なる義父の跡を継ぐことを決意。ダービー馬ウイニングチケット天皇賞・秋オークスエアグルーヴ、無敗のエリザベス女王杯ファインモーションらを輩出してきた名門の“番頭”として、調教師を支えながらの受験勉強だった。師の定年には間に合わなかったが、1年後に悲願を成就させた。
「幸せなことに結構、活躍馬を任せてもらいました。活躍した馬以上の馬に携わり、アピールしていきたい」。東西で若いトレーナーが躍進しているが気後れすることはなく、「伊藤先生のところで経験をさせて頂いたし、厩舎経営をすぐにでもできる気持ちです」と日焼けした精悍なマスクを引き締めた。

笹田和秀新規調教師の義父である伊藤雄二元調教師=写真
「本当に嬉しい。何十年もこの時を待っていたので、重みがありますね。私がお世話になってきた馬主さん達も心待ちにしていてくれたと思います。とにかく頑張ってほしい。パッとパーティーをやりたいですね(笑)」
★新規調教師喜びの声
大竹正博(おおたけ・まさひろ)調教助手
「ようやくスタートラインに立てた感じ。勝ちにこだわる必要はあるが、馬優先を第一に考えた厩舎作りをしていきたい」
尾関知人(おぜき・ともひと)調教助手
「これまでお世話になった方々や、たくさん勉強をさせてくれた馬たちに感謝の気持ちで一杯。身の引き締まる思いです」
牧光二(まき・こうじ)調教助手
「強い責任を感じている。14歳の頃から馬に携わってきた経験と技術を生かすためにこの仕事を選んだ。臨機応変に対応できる厩舎を作っていきたい」
◆矢野英一(やの・えいいち)調教助手
「8度目でようやく合格できました。父の姿を見て、幼少から漠然と思いを馳せていた。1頭の馬に多くの人が拘わっていることを認識し、厩舎の士気を高めていきたい」=父は矢野照正調教師。
須貝尚介(すがい・なおすけ)
「全ての調教師のいいところを学んでいきたい。土台を固めないと馬を預けてもらえません。愛情と感謝の気持ちで接していきたい。(騎手の)減量と勉強の両立方はつらかった。もう乗れません」=85年騎手デビューでJRA通算302勝。重賞は01年ファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。父は須貝彦三調教師。
村山明(むらやま・あきら)調教助手
「周りの支えがあって、ここまでこれました。(松田国厩舎でタニノギムレットキングカメハメハ、角居厩舎でウオッカを見てきた)貴重な経験を生かし、強い馬を作っていきたい。ドバイワールドC、凱旋門賞ブリーダーズカップにいけるような厩舎にしたいです」

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