無比なるもの

アンライバルド“飛んで”1冠/皐月賞
また大波乱! 3強の一角アンライバルド(牡、栗東・友道)が豪快な差し切りで1冠を仕留め、岩田康誠騎手(35)は04年菊花賞以来2度目のクラシック制覇を果たした。単勝1・7倍の大本命ロジユニヴァースは14着、2番人気リーチザクラウンは13着と大敗。3連単(16)(4)(15)は39万930円、馬連馬単も4年連続の万馬券となった。
アンライバルドが、飛んだ。岩田は本当にそう思った。4角から直線に入りスパートをかけた、その1完歩目。滞空時間の長い大きなストライドが、飛んでいると錯覚させた。それほど鋭い脚だった。追いつける馬はいない。直線では1頭だけ次元が違った。余裕を持ったままゴールを駆け抜ける。快勝だった。「4角手前で勝利を確信した。それほど状態が良かったし、よく折り合った」。少し上ずった声で語った。2歳王者のセイウンワンダーとお手馬が2頭いて、どちらに乗るかと注目された。結局アンライバルドに乗ることになり、セイウン陣営には謝りを入れた。それだけにぶざまな走りはできない事情があった。「この1週間、自分なりに緊張していた」とホッとした表情を見せた。レースでの不安は折り合いだけだった。その心配はゲートが開いた直後に消えた。抑えるどころか、馬は行きたがらない。「以前はレース前からてんぱるところがあった。それが自分から行かないんですからね。本当に楽に走っていた」と学習能力の高さに舌を巻いた。友道師も言う。「本当に頭がいい。競馬というものを覚えていっている」とレースの感動以上に、馬の賢さに感心していた。1走ごとに課題をクリアしていった。前走スプリングSでは長距離輸送と悪天候の難条件を克服した。少し休ませて調教を再開したとき、馬の雰囲気が良くなっていることに気付いた。普段よりずっと落ち着いていたのだ。「使うたびに強くなったことを実感している。これで負けたら仕方ないと思えるほどの仕上がりだった」。まずは1冠目。次はダービー(G1、芝2400メートル、5月31日=東京)へ向かう。「これだけ折り合いがつけば距離が延びても大丈夫」と岩田は胸を張った。友道師も「このまま順調に行ってくれればダービーも楽しみ」と笑顔を見せた。3強と騒がれたが、終わってみれば馬名通りのアンライバルド(敵なしの意味)。ダービーでもそれを証明する。

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