神戸新聞杯

関西のダービー上位馬が軒並み結集。セントライト記念(Jpn2)ではダービー4着馬のナカヤマフェスタが順当な勝利を飾り、春の勢力図が維持されているか、このレースで確証を得られるはずだったのだが…。勝ったのは別路線組のイコピコ。ダービー上位馬をレコードタイムで一蹴。
大幅に馬体重を減らしてしまったリーチザクラウン。だが、自身のレースをする他なく、前半で先手を奪うと1000m60秒3とこの馬のスピードを生かすレース展開に持ち込んだ。過去二年間とは異なり、ラップタイムは後半に差し掛かって一旦落ち着いていく、意外にも逃げ馬にとっては好都合のタメを作れるラップとなりリーチザクラウンは楽な逃げ。有力馬が馬群の各所に散ったため各馬動
くに動けなかったことが、影響したのだろうか。結果として、直線に入って一気にラップが上がるという長い直線コースでの典型的なラップ構成に。こうなれば、一気にスピードの切り替えができる、瞬発力に富んだ馬たちが台頭する。
瞬発力といえば、皐月賞アンライバルド。直線半ばで期待通りに上がってきて一気に先頭へ…と思ったがここで脚色を失い全く伸びない。スプリングS(Jpn2)、そして皐月賞で見せたあの一瞬で後続を突き放す脚が不発。今回は道中懸念されていた折り合いの悪さがやはり出てしまった。結果として、最後の脚にこれが影響したか。34秒台の平凡な上がりでは勝てるわけがない。潜在的には、血統背景からもこの距離でも十分戦えるはずなのだが…。日本ダービー(Jpn1)の負けは、荒れに荒れた馬場も要因のひとつだっただろうが、仮に良馬場であったとしても、この折り合いがおそらく足かせとなっていただろう。秋になっての成長を期待していたが…。現状2000mあたりがベストだろうか。
一方でこの「瞬発力」という点で、最高の切れ味を発揮したのが、勝ったイコピコ。道中は中団で脚をためて、人気馬を後ろから見る形。直線でゴーサインを出されると反応よく、アンライバルドの外から一気の伸び。坂で若干脚色が鈍ったリーチザクラウンを悠々と捉えるとレコードタイムでの快勝となった。ここ2戦は小回りの競馬場でのレース。立ち回りが難しかったが、4着した東京のプリン
シパルSのように、本来は脚をためて後方一気で上位に来れる切れ味の持ち主。今回は極端な作戦ではなかったが、基本的には広いコースで伸び伸びと脚を使う、「本格派」なのだろう。33秒台の脚は抜きん出た数字。他馬は確かにある程度次を考えて余裕残し、あるいは調整不十分という馬も多かった。だが、この上がりの数字とレースタイムはこの馬の資質の高さを間違いなく示している。ただ、こういうタイプは、京都の3000mのような緩やかに脚を使っているコースよりも、東京の2400mのような長い直線での脚比べが合っていると思う。いずれにしても、この世代にまた1頭、スター候補が出たことは間違いない。
2着リーチザクラウンは、ひとまず結果は出せた。体重がここにきて18キロも減っているというのは、一体どういうことなのか…。400キロ台で初めて出走することに…。道中のラップは、うまく逃げた形となり、また最後まで粘ったあたり相変わらず競争能力の高さは示せた。ただ、春と比してまずは順調という評価はできるだろう。状態面でさらに上積みが期待できるだけに次は期待したい。
3着セイウンワンダーはマイルでの重賞タイトルがあり、ダービーで大敗した印象から、距離が微妙と思われたが今回、先行してきっちりと結果を出した。もう単なるマイラーではないだろう。奥の深いレースができる馬。ただ、強烈な決め手があるわけでもなく、底力があるわけでもなく…。もうひと押しの地力強化が必要だろう。
9着アプレザンレーヴは、22キロと大幅な体重増。末脚で挑むこの馬にとっては、向いた流れだっただけに残念。11着に敗れてしまった2番人気アントニオバローズは少し心配。ここまでズルズルと負けるのは、多少不可解…。

http://archive.mag2.com/0000150903/index.html

レース映像はこちら、言い続けてきた「セイウンワンダーマイラーなのだ」という主張は見事覆される結果に。戦前「このレースの結果で距離適性が分かる」と陣営も言っていたようにやはり本質的にはマイラーだとは思うのですが、今は能力で適性のない距離でも走れてしまうということでしょうか。悔いを残さないように菊花賞には挑戦して欲しいと思いますが、古馬になったらマイル王ね。