牧さんのコラム

牧太郎の大きな声では言えないが…:宗男さん、お元気で!
2006年5月28日は日本ダービースポーツニッポンに頼まれ、観戦記を書いた。北海道日高地方の弱小牧場で生まれた馬が、巨大な競馬産業「社台グループ」系の馬を破った歴史的なダービーだった。
すると……ある「有名人」が観戦記を自らのブログで激賞してくれた。
「飛行機の中で『スポーツニッポン』に目を通していたら、『負け組』の星、小さな牧場で生まれたメイショウサムソンがダービーを制し『勝ち組』社台に勝った事を牧太郎毎日新聞専門編集委員が観戦記の中で書かれている。私も『負け組』からカムバックした者として、興味深く読ませて戴(いただ)いた。『勝ち組はもちろん社台、勝ち組のアドマイヤメインはせり市で(価格は)1億3900万円、フサイチジャンクは何と3億3000万円。日高(地方の牧場)は負け組だった。サムソンは庭先取引で1000万円以下、馬産地の金力格差は、大都会の大企業と中小企業以上なのだ』とズバリ指摘している。この記事に多くの人がうなずいているのではないか。頑張った者が、努力した者が栄光の座につく、真に公平、公正な社会づくりに向け、私もまた前を向いて歩いていこう」
「負け組からカムバックした」と言う、この有名人は? 新党大地の代表・鈴木宗男さんだった。
政治家から褒められることはない。ちょっと気味悪いが、お礼を言わなければ……と思ったが、僕は宗男さんの悪口を書いていた。“あいさつ”せず、改めて「宗男」を観察することにした。
はっきり言って、宗男さんはすべてに高圧的。押して押して突き進む。評判は悪い。が、明るい。サービス精神もフットワークも抜群。それに「貧しさの現場」を知り尽くしている。2世議員、官僚議員、労組出身議員たちにない「何か」がある。
例の刑事事件で有罪が確定、早ければ今月中に収監される、と聞き、初対面だが、宗男さんを「あの時のお礼に、うまい物の食い納め!」と両国の評判のそば屋に誘った
10月6日、地元・北海道から飛行機でやって来た宗男さん、実に堂々としていた。牢獄(ろうごく)に行く人間とは思えない。
「多分、510日間以内で娑婆(しゃば)に出てきますよ。幸せなことに民主党は解散できないから、政治の“表舞台”に復帰する時間が稼げる」と大笑い。こんなアクの強い政治家が今の日本に必要なのではないのか? 宗男さん、行ってらっしゃい!

http://mainichi.jp/select/opinion/maki/