秋華賞

ホエール生涯一!馬なりで好時計
無冠返上へ、生涯最高の状態だ。3歳牝馬の最終決戦となる秋華賞(G1、芝2000メートル、京都=16日)の追い切りが12日、東西トレセンで行われ、前哨戦ローズSを制したホエールキャプチャ(田中清)が絶好の動きを披露した。栗東坂路で馬なりのまま4ハロン51秒4−12秒0。手綱をとった池添謙一騎手(32)も「今までで一番いい状態」と絶賛した。
うっすらと坂路を包んだ朝もやを切り裂き、躍動するホエールキャプチャのシルエットが浮かび上がった。池添が手綱で促すまでもなく、芦毛の馬体はみずから伸縮を速める。馬なりのまま4ハロン51秒4−12秒0。非の打ちどころがないパフォーマンスだった。
池添:しまいも無理をしてないし、馬なりで上がってきた感じで12秒ジャスト。前回も仕上がっていたけど、さらに良くなっている。今までで一番いい状態で行けると思う。
鞍上は追い切る前の時点から、上昇ぶりを確信していた。ダク(速歩)での準備運動中。前脚がスムーズに前へと出ていることに気付いたという。「ダク(の動き)が硬い馬なのに、全然それがなかった」。昨年8月のデビュー以来、ずっとコンビを組んでいるからこそ分かる違い。相棒のすべてを知り尽くしている。
3歳牝馬の最終決戦へ向け、かける思いは人一倍だ。G1過去3戦は惜敗ばかり。阪神JF桜花賞はともに0秒1差の2着、オークスはタイム差なしの3着で涙をのんだ。会見では「惜しいところで勝ちきれないのは僕のせいだと思う」と自分を責め「何としてもG1をとらないといけない」と決意を示した。
陣営も願いは1つだ。担当の蛯名厩務員は今月21日で定年を迎えるため、今回がラストラン。かつて70年の桜花賞馬タマミなどを手がけた敏腕は「いい状態で出せる。早く結果が見たい。しょっちゅう出会える馬じゃないし、うれしくて仕方ないよ」と目尻にしわをつくった。主戦騎手には特に言葉をかけていないという。最後まで自然体で送り出すためだ。池添も「言葉はなくても、蛯名さんの思いは伝わっている」と気持ちをくむ。
ホエールキャプチャ自身は気負いすぎることなく、静かに決戦の時を待っている。ローズSを完勝した後も栗東に滞在。蛯名厩務員によると、馬房では小窓からアパートの洗濯物を眺め、のんびりリラックスしているという。スイッチが入るのは、レース直前からでいい。人々の思いを背負い、春に届かなかった勲章をつかみとる

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