油断禁物

ばんえい競馬V字回復のヒミツ 馬券発売額過去最高に
1トンを超える巨大な馬が鉄そりを引っ張って競う北海道帯広市の「ばんえい競馬」の業績が、V字回復している。9年前に消滅の危機に直面したが、馬とのふれあいを売りにネット馬券も強化して、ファン層を広げた。淘汰(とうた)が進む地方競馬界が、注目している。
ライトを浴びた夜のコースで、10頭のばん馬が約800キロの鉄そりを引き、200メートルの直線コースをじわじわ進む。一度立ち止まって呼吸を整え、障害の坂を越える駆け引きが、騎手の腕の見せどころだ。
夏の重賞レース「北斗賞」は、7月12日の午後8時にスタートした。一番人気の「フジダイビクトリー」が、重賞5度目となる優勝を飾った。
ばん馬の体重は、時速60キロ以上で平らな周回コースを競うサラブレッドに比べて、倍近くある。ルーツは北海道開拓の農耕馬遊びで、馬が重いソリを引く世界唯一の公営レースだ。
だいご味は、馬の歩みに合わせてファンがコース脇を歩きながら声援を送れる近さにある。首都圏からきた女性(26)は「迫力を肌で感じた。坂を上るとき思わず叫びました」と話す。
場内の広場には、引退したばん馬が馬車を引き、親子で楽しめるスペースもつくった。帯広市を中心とする十勝地方は、ばん馬の生産のほかに農産地としても国内最大規模だ。キャベツやズッキーニなどの新鮮野菜の売り場や、スイーツが楽しめる飲食店も入れた。
人気漫画「銀の匙(さじ)」の舞台で知名度をあげ、観光ツアーの立ち寄り地になったことも大きい。
約20年前からは、インターネットで馬券を買えるようにしている。いまは購入額の6割超が、「楽天競馬」といった複数のネットサービスから。競馬場に来られないファンがいる一方で、足を運ぶ家族連れや若いカップルなどの新たな客層が増えている。この1、2年で、およそ50の自治体が視察に訪れるほどだ。
2014年度の馬券販売額は132億円、入場者数は27万人台で、ともに帯広では最高を更新した。今シーズンの出足も好調で、市は「30万人台に届く」とみている。
地方競馬、生き残りへ奮闘
ところが、ここまでの道のりは険しかった。北海道開拓時の農耕馬をルーツに1946年に公営ギャンブルとして始まったばんえい競馬は、もとは帯広市のほか、旭川、北見、岩見沢の道内3市で開いていた。
しかし、06年度に約40億円の赤字を抱え、07年度から帯広市の単独開催になった。あわせて、ソフトバンクの子会社「オッズパークばんえい・マネジメント」が販売や宣伝を支援した。13年度に約1億円の黒字に転じ、14年度も黒字を確保して好調は続く。
ばんえい振興室の佐藤徹也室長は「ここでしか見られないレースを守っていきたい」と話す。これまで抑えてきた馬主や騎手への賞金を引き上げ、ばん馬生産者の報奨金も増やす。レースに出走できる登録頭数の減少に、歯止めがかかりそうだという。
ばんえい競馬だけではない。地方競馬はどこも、競輪や競艇といった公営競技と同じく、ファンの高齢化や地方の人口減少に頭を悩ます。戦後直後、全国72カ所にあった競馬場も、00年以降だけで宇都宮や荒尾(熊本)、福山(広島)など約10カ所が廃止となり、いまは、ばんえいを含め盛岡や川崎、金沢、佐賀など17カ所に残るだけだ。
14年度の地方競馬全体の馬券の販売額約3879億円は、バブル期の4割弱とはいえ、12〜14年度は3年連続で前年を上回った。川崎では、13年度決算の黒字で累積赤字を解消した。地方競馬全国協会は「中央競馬と馬券販売のシステムを共有したことや、親しみやすい競馬場をアピールしたことで、ようやく底をうった」とみる。
テレビで競馬実況をしているフリーアナウンサー矢野吉彦さん(54)は「知恵を働かせ、競馬場に足を運びたくなる企画を続けていく必要がある。それが未来の競馬ファンの獲得につながる」と指摘する。

http://digital.asahi.com/articles/ASH7K6DS4H7KIIPE02L.html?iref=comtop_6_06

たとえば暮れの東京大賞典の馬券を買おうと思ったら曜日の巡りが良ければWINS難波で買えるのですがたいがいの場合は園田まで行かないと買えません。その馬券をケータイから買えるのですからやはりPATとの連携が大きかったですな。