ワックス

「秘密のワックス」? 躍進日本の滑るスキーに各国注目
複合団体で日本に14年ぶりの金メダルをもたらしたのは、後半距離での躍進だった。距離の女子団体スプリントでも過去最高の4位入賞を果たしており、日本チームのクロスカントリー用スキー板が注目を集めている。各国からは「秘密のワックス」という声もささやかれている。26日の複合団体で接戦を制した小林範仁東京美装)は、滑りのいいスキーを抑えるのに必死だったという。「スキーが滑ることを知られたら、相手は(戦術を)考えてくるんじゃないかと。隠れるように後ろにつきました」25日の女子団体スプリントでは上りで離されながらも、下りで20〜30メートル差を一気に抜き返す夏見円JR北海道)の姿に場内は騒然となった。ある関係者は「特別なワックスはある」と打ち明ける。ただ、それだけで滑走性能が上がるわけではない。このワックスは日本以外にも1カ国が手に入れたが、今大会で目立った成績は残していない。何十種類もあるワックスは雪温や気温、湿度、結晶の形などによって組み合わせを変えて使用する。さらに、形状や滑走面の素材などが違うスキー板の選択も雪質に合っていないと、滑りが良くなることはない。そうしたスタッフの研究と努力の成果を、今回は選手が見事に生かした。複合の河野ヘッドコーチは「サービスマンに感謝したい」。距離の岡本ヘッドコーチも「すべてがかみ合った結果」と語った。複合のワックス担当は、92年アルベールビル五輪前からオーストリア出身のシェラブル・ウェルナーさんが務めている。日本距離陣の情報を複合用にうまくアレンジした経験と判断力が金メダルにつながった。ただ、コースによって雪質はまったく違う。「秘密のワックス」がいつでも通用するとは限らない。

http://www.asahi.com/sports/update/0227/TKY200902270383.html

いまから20年以上前、たしか近高の選手だったと思いますが大阪高校大会のSLに優勝しました。うち(泉尾高校山岳スキー部)のOB(技術コーチ)が彼に「どんなワックスやったん?」と聞いたら彼の答えは「ノーワックス」でした。
アルペンでのワックスの役割とノルでのワックスの役割は全然違います。アルペンでまず大事なのは競技者が板をフォールラインに向けて滑ること、それができた上で板を滑らせる補助をするのがワックスです。ですから上に書いた近高の選手はワックスに頼らず、とにかくフォールラインに自分を落とし込んでいくこと。それを実践して大阪大会で優勝したのです。
ノルではパスカング(クラシカル走法)の滑りを良くするワックスもありますが、まず競技者が登りを両板でしっかり雪面を捉えることが大事です。それらをキチンとできた上での「滑りの良いワックス」なら革命的です。
登りを競技者の地力に任せて、下りはワックスで「滑らせる」という戦略は私個人はあんまり好きではありません。